『棺一基 大道寺将司全句集』(太田出版)が出ました。
辺見庸さんが序文と跋文を書いています。
作者は、1948年生まれ。
「東アジア反日武装戦線��狼�&泊烽フメンバーであり、お召し列車爆破未遂事件(虹作戦)及び三菱重工爆破を含む三件の「連続企業爆破事件」を起こし、1975年逮捕、1979年東京地裁で死刑判決、1989年最高裁で死刑が確定した。2010年に癌(多発性骨髄腫)と判明。獄中で闘病生活を送っている。著作に『明けの星を見上げて』『死刑確定中』『友へ』『鴉の目』がある。」(奥付にあるプロフィール)
私は三菱重工爆破事件の時、中学生でした。
当時事件の生々しい報道写真を見て、大きな衝撃を受けた覚えがあります。
あの時の犯行グループの一人です。
今では俳人でもある作者が
なぜあのような、多数の死者を出し社会的な影響の大きい事件を引き起こしたか、
その背景と動機については
じつは私はまだ考えたことが一度もありません。
当時、この事件については、親も周囲の友人も、「過激派は怖いわねえ」とばかり言っていた記憶があります。
真面目な友人は一生懸命
「頭が良すぎるとああいうことをするのよ」と力説していたのが記憶に残っています。
それから高校に入り、教師に反抗した場面で
「おまえは過激派になるつもりなのか」といきなり言われて驚いたこともありました。
この事件がどれほど大きな衝撃を与えていたことが分かります。
しかしあれから長い歳月が流れました。
作者は三十数年間死刑囚として監獄に拘禁されています。
これは獄中生活から生まれた第三句集であり、全句集です。
(ただ未発表の句もたくさんあるとのこと)
本書の上梓は、辺見庸さんが勧めました。
癌から来る壮絶な痛みに苦しむ友人の姿を見て、
「書け」という言葉が口をついて出たといいます。
「医者や薬はもちろん大事だが、最後には言葉にしか救われない」と。
そして本書の刊行を提案しました。
内容についてはこれからじっくり読んでいき
少しずつ感想を書いていきたいと思いますが、
まずは喫緊のお知らせです。
本日夜、以下の番組が放映されます。
本書の内容や経緯だけでなく
死刑について、言葉について、大きく触発するものを予感します。
これを観てからまたあらためて本書についての記事を続けたいと思います。
皆さんもどうか御覧になって下さい。とりいそぎ。
辺見庸出演NHK ETV特集が下記のとおり、2012年4月15日夜に放送されます。
「失われた言葉をさがして−辺見庸 ある死刑囚との対話」
*2012年4月15日(日)22:00〜23:29 教育テレビ
*再放送 2012年4月22日(日)00:50〜02:19 教育テレビ
*再放送は、土曜深夜です。