5月3日に「奪われた野にも春は来るか 鄭周河写真展」のオープニングトークに参加します。
この写真展のタイトルは李相和の詩「奪われた野にも春は来るか」からとられたものです。その詩で表現された
植民地主義下の朝鮮の野と、
原発事故によって奪われた現在のフクシマの野。
それらは安易には重ね合わせられません。
二つの痛みは異なります。
むしろ背反するものでしょう。
日本の政府と企業と消費者の「帝国主義的」欲望によって
結果として引き起こされた原発事故の痛みと
後者によって前者を比喩することは論理的にも倫理的にも難しいでしょう。
けれど両者をつなぐものは本当にないのでしょうか。
美しくもどこか不安をかき立てる鄭さんのフクシマの写真は
見る者の内奥に隠されていた痛みを
静かに白々とした光にさらしていきます。
そこには言葉もなく
廃墟と化しつつある自然や事物だけが何かを語っています。
それらは
人間がいまだ人間自身を傷付け続けているという真実を静かに突きつけてきます。
今刻々細胞という野が傷つけられているという真実を。
朝鮮の痛みとフクシマの痛みを
人の魂の痛みにおいてつなげ、通底させる表現は可能でしょうか。
私たちに隠され
私たちがみずから隠そうとしてきた痛みを
美しさによって誘いだし感覚させる詩とはどのようなものでしょうか。
今詩を書く者として
そんな詩的な問いかけをも携えてトークにのぞもうと思います。
鄭さん、徐さんの言葉に導かれ誘いだされながら
事実と詩に対して不誠実ではない言葉を私なりに語ることかできたら、と。
多くの方々がご参集して下さることを願っております。
立命館大学国際平和ミュージアム「奪われた野にも春は来るか 鄭周河写真展」
会期
2014年5月3日(土)〜7月19日(土)
休館日
月曜日(ただし5月5日(月・祝)は開館)、5月6日(火)
時間
9:30〜16:30(入館は16:00まで)
会場
参観料
大人400円(350円)、中・高生300円(250円)、小学生200円(150円)
上記( )内は20名以上の団体料金です。※常設展もあわせて見学いただけます。
※国際博物館の日(5月18日)は入場無料です。
主催
共催
鄭周河写真展実行委員会
協力
立命館大学コリア研究センター
後援
京都市内博物館施設連絡協議会、KBS京都、朝日新聞社、京都新聞
関連企画
◎オープニングトーク
日時:5月3日(土)13:30〜15:30
場所:展示場内にて
鄭周河(写真家)× 徐京植(作家)× 河津聖恵(詩人)
●通訳あり・当日参観料が必要です。
◎トークセッション
日時:6月7日(土)13:30〜15:30
場所:展示場内にて
高橋哲哉(東京大学教授・哲学)× 庵逧由香(立命館大学准教授)× 学生からの発言
●当日参観料が必要です。