自由法曹団 声明
改めて、朝鮮学校を「高校無償化」の対象とすることを求める声明
報道によれば、朝鮮民主主義人民共和国が大韓民国の大延坪島を砲撃したことを受け、本年11月24日、菅直人内閣総理大臣は、朝鮮学校への高校無償化制度適用プロセスを停止するよう文部科学省に指示し、25日、文部科学省は審査を行わないことを正式に表明した。
本年2月、政府与党は朝鮮学校を高校無償化の対象から外そうとし、これに対し自由法曹団は、3月5日、朝鮮学校を「高校無償化」の対象とすることを求める声明を出した。
その後、政府与党は、検討の結果、朝鮮学校を「高校無償化」の対象とする方針を 打ち出した。その矢先に、上記のように、朝鮮学校への高校無償化制度適用のプロセスの停止、すなわち無償化の見直しを打ち出した。
自由法曹団が3 月の声明で述べたように、そもそも「高校無償化制度」の趣旨は、家庭の状況にかかわらず、すべての高校生が安心して勉強に打ち込める社会を築くこと、そのために家庭の教育費負担を軽減し、子どもの教育の機会均等を確保するところにある。このような制度趣旨からすれば、朝鮮学校を、一旦は「高校無償化」の対象とするとした方針を翻して、各種学校である他の外国人学校とことさら区別して、 「高校無償化」制度の対象から除外する取り扱いは、多くの法的問題があるといわざるを得ない。
また、朝鮮民主主義人民共和国による大韓民国砲撃というきわめて政治的な問題を理由に方針の見直しをすることは、政治を子どもの教育に持ち込むことであって、いかなる意味でも許されてはならないことである。
私たち自由法曹団は、改めて、教育を受ける子どもたちの立場から朝鮮学校を「高校無償化」の対象とすることを強く求めるものである。
2010年11月29日
自由法曹団
団長 菊 池紘