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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

テーブルトーク 朝鮮学校問題 自由への回路求め

本日9月11日付朝日新聞夕刊文化面に、記事が掲載されました。配信エリアは関西圏のみのようです。詩と自由との関わりは私が一番言いたかったことです。この「自由」は、昨日の「しんぶん赤旗」のエッセイでいえば、他者との関係へと「解き放たれること」ともいえます。

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 朝鮮学校問題 自由への回路求め 詩人 河津聖恵さん(49)                                                                   
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   高校授業料の無償化が4月に始まったが、朝鮮高級学校は「日本の高校課程に類する」ことが確認できないとして適用が先送りにされている。この動きに反対する詩人や歌人らが作品を寄せ合い8月に自費出版した「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」のまとめ役を担った。
 日本の辻井喬さん、在日の李芳世さんら79人の作品は、A5判312ページの冊子(千円)に結実した。「ずっしりとした重さは、思いの強さの表れ」。初版の800部は完売、千部を増刷した。
 文部科学省の専門家会議は、教育内容を無償化の判断基準にしない方針を示した。だが、北朝鮮による日本人拉致、金正日体制を礼賛する教育内容とからめ、朝鮮学校の無償化に反対する声は根強い。政治家のよる批判、拉致と朝鮮学校を結びつけたネット上の中傷も相次いだ。
 そんな状況に、「社会派には程遠い作風で、在日の知人も少ないれど」動かずにはいられなかった。「他者を排除する言葉の暴力が、社会を席巻している。朝鮮学校に限った問題ではない。政治が教育に介入する流れは思想統制につながる」。結果として、政治から距離を置きがちな現代詩への異議申し立てにもなった。「私たち『うたびと』も、歴史や他者への想像力に裏打ちされた言葉を生みだす努力を真剣にしてきたかどうかが問われている」
 東京都生まれ。京都大学在学中から京都に住んでいる。2003年、詩集「アリア、この夜の裸体のために」でH氏賞を受けた。ことばの選び方や響きに、どこか音楽を感じさせる作品が多い。
 詩を書くことは「自由」に近いと考える。「言葉を介して他者と共鳴することにこそ、自由への回路はある」。その意味で、朝鮮学校の問題に向き合うことは、共鳴の回路を問い直す試みでもある。(星野学)