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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

2月16日「「尹東柱とわたしたち2013」in喫茶美術館

一昨日、2月16日(土)Yundonju2013216
東大阪市にある喫茶美術館にて
尹東柱とわたしたち2013」を行いました。
詩人の命日に当たるこの日に
亡き詩人に捧げる朗読会です。

このブログでもご報告したように
昨夏、愛沢革さん、丁章さん、河津とで行った尹東柱の墓参の旅
に出かけましたが
あの時わたしたちが尹東柱の墓前でつつまれた、
詩に満ちた美しい時空を、来てくれた方々と共に感じたい。
そう願って、やや準備不足ながら急遽計画したものです。

告知もあまり本格的には出来なかったのですが、003
それでも多くの方が来て下さいました。
(「尹東柱とわたしたち」の「わたしたち」もちろん
来てくれる方々も含めての「わたしたち」です。)

私が居住し、東柱が留学中に過ごした京都は
朝、雪景色でしたが、昼には日差しがさしこみ、
空気がきらきらと輝いていました。
その変化がなにか、美しくもはかない詩人の詩魂そのもののようで
毎年のことながらやはり特別な日だなあと思って、会場にやって来ました。

私が東柱の詩を知ったのは、2006年冬。
それからもう6年以上がたちますが
日本社会や政治の変化をも含めた「地」の暗さがますほどに
詩人の言葉が輝きはじめるような気がしてもいます。

さて、朗読会は予定より大分遅れた午後七時から始まりました。008
聴衆と写真の東柱にまなざされながら
丁章さん、愛沢さん、私の順で朗読していきました。

丁章さんは自作「東の冬」「はらからの誓い」と
ご自身の訳での東柱の詩「十字架」。
そして、
最近世界を騒がせた隕石にちなんで
東柱の散文(詩)「隕石の墜ちたところ」。
これはなかなか知られていない詩ですが、素晴らしいものでした。

愛沢革さんは東柱の詩「怖ろしい時間」」「道」。
そして3.11をテーマとした自作「風とともに」「罪と罰」「国策」。
東柱の原詩を、思いをこめた力強い発音で読まれたのが心に刻まれました。012

それからラストは私が
「炎」「詩人の故郷」「チンダレ」を。
「炎」は書いた2月13日当日の、詩人の命日を前にした心境、
「詩人の故郷」は墓参の旅を思い起こして14日に書いたもの、
「チンダレ」は2007年に東柱のアパート近くの比叡山にのぼったとき、
ふと見かけた紫に輝くつつじに触発されて書いた詩です。

最後は聴衆のみなさんと一緒に「序詩」を声を合わせて読みました。」014

熱い一時間半を終えて外に出ると
大阪の町の上の夜空には優しい星々がまたたいています。
駅に向かい歩きながら誰かがふと
東柱が見ているようだね、と呟きました。
私も、なにか詩人がほほえんでくれたようにも思えました。

時間配分など色々反省点もありましたが、やってよかったです。
来年も東柱と東柱を愛する多くの方々と出会うために
この会を行いたいと思っています。

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