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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

#連歌デモ2146〜2224

2146葡萄の実を見つめる小さな眼が無邪気に見るものは心に隠した深い闇の森

2147痩せてまた手にす今年の秋茄子多病の人の憂い深きに 

2148不安あり葡萄の熟るゝ香の中で山の影にも岩影木蔭も

2149手のひらに乗せるほどの幸でいい生きてゆくのに必要なこと

2150見失ってしまってから探してももう遅い手のひらに乗せるだけの幸を喜ぶ

2151一人でも多く被曝をさせたがる細野豪志は悪魔の手先 

2152セシウムプルトニウムも降り続く元凶なりし原発止めよ

2153うす桃の石榴子安に祀れども悔ゆることのみ数えしものを

2154遺されし「パパは本当に残念だ きっと助かるまい ママこんな事になるとは残念だ さようなら 子供達の事をよろしく頼む 今6時半だ 飛行機は まわりながら急速に降下中だ 」手帳の文字を重ねてみよ 原発事故に苦しむ福島苦しむ国民

2155無花果の香や死なずにいゆるなし望みは断たれ忘れ去られて

2156みちのくでたわわに実る青りんご薫り高きに涙こぼるる

2157福島の無辜の人らを蹂躙す「結婚するな 子供を産むな」なん人(ぴと)も被曝も差別も奪えない人の生きゆく基本的権利(注:日本生態系協会池谷奉文会長が、7月の講演で「福島の人とは結婚しないほうがいい」と述べたことに対して)

2158今日はデモの日核のない未来を作る夢満月に託してデモに行く友と共に詩となって

2159きみのこころに永遠(とわ)なる花をと歌うあなたは 悲劇の中にも幸せの種が埋まってると歌の中で人を慰めるかな

2160故郷に赤き花咲く彼岸花 デモに連なる死者の念かな

2161今生の生は泥にてまみるともやがて蓮の花ぞ咲くなり

2162八月の情念背負いて我もまた 今日もいのちのために闘う

2163八月の尽きても八月忘るまじ今日旧暦の盆の満月 (注:新月を基準にする陰暦は中国から入ってきたもの。それ以前の陰暦は満月が基準。旧小正月と旧盆はその名残で半年ごとの大きな節目。今日はその旧盆の満月。)

2164旧盆の月の見守る紫都を圧すドラムの音は縄文の音(注:満月を基準とする暦は、たぶん縄文時代以来続くもの。)

2165縄文の音の圧する江戸の坂今旧盆の月が照らして(2164へ返歌)

2166目の前の生にとらわれもがくのも今生限りの命であるゆえ

2167ソウルの空にある月も東京の空にある月もきっと誰かが眺めてる そんな気持ちになれたら優しい気持ちになれるよね

2168この惑星は君が遺せる形見ゆえ核の絶えたる明日に進まん

2169この惑星の中に浮かべる日本丸力合わせて未来へ漕ぎ出でむ(2168へ返歌)
2170行き先を示さで封ず地図の草むらからの空歩みて展く

2171出口への地図はいづこと捜しつつ草そよがする風に訊ねん(2170へ返歌)

2172今日も我君の形見をつけて生きる 共に生きる今日共に生きる明日

2173君の匂い 眼差し 願いを想うとき 我のいのち終わるときも共にありたし(2172へ返歌)

2174この惑星(ほし)は君が遺せる形見ゆえ核の絶えたる明日に歩まん(2172へ返歌)

2175「死を想え」賢者の言葉噛みしめるよく生きてこそ正対できると

2176いのちに終わりがあることをさとれば生も死も静かな烈しさどこかにもちしことを(2175へ返歌)

2177水、緑、肥沃の星をかく荒らし人を滅ぼし文明は今(注:東京へ向かう車中にて。2178、2179も)

2178文明と嘯くなかれ英知なき愚行ばかりが満たせる惑星(ほし)を

2179この惑星(ほし)の皮膚は灼かれて夏の午後渇きを癒やす雨を待ちわび  

2180夢の中こちらの巫女ははウズメ系ゆれる羽飾り銀のサンダル(1830「地元の祭礼に足遠のきて緋と白は宵の心の宮で舞い」へ返歌)

2181逝きし者は総て尊ばれんと云う訓に頼みて死地へと送るか

2182逝きし者は総て尊ばれんと云う訓に頼みて死を心待つをや

2183みどりごの小さな手に指を優しく絡ませる約束して生きて生きてと

2184 20年来原告敗訴の原発訴訟に裁判官らの反省なきや?

2185国策より人のいのちが大切と憲法に学びし彼らなりしを(2184へ返歌)

2186今日も我君の形見をつけて生きる 共に見る今日共に見る明日

2187日輪の子なる民なる我らなれば人工の太陽なぞは要らぬ要らぬと

2188こんなにも悲しいことがあるだろうか 子らよ私より先に逝くな逝くな
太い声で痛烈に原発のこと歌ったあなたの言葉に 生きる意味を問われている今 (注:チェルノブイリを聴いて)

2189地図にある汚染の色の地にはなしされど色なき汚染たしかに

2190地図にだけ国境線は引かれあり海はただ波ところどころ魚

2191地図にだけ国境線は引かれあり地にはただ草ところどころ柵

2192ここまでが安全ここは危険だと神々でさえ区切りはできぬ(2191へ返歌)

2193コトバより立ち来る世界そのままに身空しくとも歩み刻まん

2194何処ともなく呼ぶ声に摺りいだす足の運びの確かなるかな(2193へ返歌)

2195身空しくコトバはさらに空しくも核の荒れ野に刻む足跡(2193へ返歌)

2196この夏の終わりの空に立ちのぼる積乱雲の如歌立来たれ(2193へ返歌)

2197立ち来たれ筆先鋭く身は軽く心明るく世直しの歌(2196へ返歌)

2198ダダダダとダダンダンとうたが飛ぶ連歌デモだよ想いよ届け

2199故郷を追われて流れ呆として小さき希みはコトバより立つ(1933「流氓となるやもしれぬ島人の希望は小さき隅々に棲む」へ返歌)

2200声ありてコトバとウタとマヒ生まれくるり回れば希望生まるる(2199へ返歌)

2201君が健やかであるなら悪役だって何だってなるよ 消されてよいいのちなどこの世にはないから

2202魔の刻はほんの一瞬魔の顔はいつまでたっても人の顔なり

2203君よただひたすらにひたむきに真っ直ぐ生きよ 新しきいのちを共に負う大切なひとのために

2204自然と共に生きる民に問うてみよ 大地が血を流す意味を 足元に戒めがある意味を

2205君よ我の国を見て気づけ 領土より経済より大切なのは 次世代にいのち繋げるための努力惜しまぬ国だと

2206未来持つ彼ら彼女らに幸あれと祈るしかない多々の人々(2205へ返歌)

2207被曝に子を曝させるこの国の罪深さに今福島昔沖縄と棄民させられしひとたちの声なき声は虚しく響き

2208ひとよ怒れ先進国と名乗りしに子どもを守れぬ国にてありぬ

2209ひと欠片の吾子の形見を捜しける父母の元吾子は還れり

2210東北の津波の記憶塗り替えんとす報道ありて行方不明者さ迷ふ

2211「センチ」とはなんとセンチなお言葉か底を踏み抜くブルーズだがね

2212一人いて淋しき部屋に訪なうは小鳥なるかな放射能宿すも

2213世の中に騒ぎたまえるひとあれど我のみ安全死なぬと思えり

2214巻き添えをくうて悲しきアイナメや喰われぬ我が身を安堵するかな(2213へ返歌)

2215ようやくに公開されしテレビ会議の映像に見る保身の姿勢

2216炉を止める手段も能力も持たずして爆発・被ばくを招きし彼ら(2215へ返歌)

2217詩への情熱だけを胸に秘め無教養の我は 詠む 怒り悲しみ希望を言葉に託して

2218原発への怒りもてただひたすらに我の全身全霊言の葉に載す(2217へ返歌)

2219放射能に負けない身体を造るとや原子力産業止めるが先なり

2220新たなる技術も設備もいと虚し八百万の神神怒りぬ

2221人柱欲すと謂うや地鳴りする今日も鎮めの歌を捧げん

2222四〇年越えた原発酷使する完全(関電)利用灰になるまで

2223病むひとにかける言葉のかそけさに名残る暑さの耐え難きこと(2222へ返歌)

2224耐へがたさ三十一文字に乗せつづけ心ある人の受くるにまかせよ