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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

「嘘も欺瞞も、それから…」倉田昌紀

紀州の夜から、倉田昌紀さんの投稿です。
「只生きているのみ」という生の真実の実感が、紀州の海や山に刻々と染み入っているのでしょう。

嘘も欺瞞も、それから…
                   倉田昌紀

只生きているのみという強くなるばかりの感じが
自然の恵みのなかで
精神の在りようと共に変わってゆくことでしょう
むこうから向き合って来てくれるもの
こちらから向き合って行くもの
不毛な時間もやってくる
不毛な空間もやってくる
今ここでぼくに向き合えることは何…
苦しめばいい
悩めばいい
こんなものはいつでも捨てられる、と
「ガンも生きもの
  仲よくしましょう手なずけてやりましょう」(高木護)という言葉が
不思議な味で響きます

今ここにいるこの自分しかいないのに
この逃れがたい真実どん詰まり
「倉田さん  のんべり構えることです。」(同)
この変わる姿が今ここのぼくのほんとうかもしれない…

明らかになるのは
自分の有限性と卑小さばかり
向き合いかたの「つもり」が
どこか外れているのかもしれないなあ

「嘘も方便」なのです
人間の惨めさを避けるための欺瞞・嘘
太陽に大空
海や山々には
死を前にした人間の営為がいかに映るのだろう…
自然の恵みは欺瞞も嘘もこころ穏やかに叡智の魂にかえていくのかもしれない

自然の輝きと闇の最後の贈り物は何…
あなたはもう皮膚のぬくもりのごとく知っているのでしょう