#title a:before { content: url("http://www.hatena.ne.jp/users/{shikukan}/profile.gif"); }

河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

故郷/異郷の缶詰

故郷としてのハッキョ。 そう私に語ってくれたのは、在日二世の方でした。 生まれた場所は、母がいなくなった父を追う旅の途中。それから日本のいくつもの場所を点々としたけれど、どこも自分にとって故郷といえる場所はなかった。けれどハッキョに通い始め…

金里博さん無声一人デモ第�U回

事後報告になりますが、 本日金里博さんの第�U回無声一人デモが無事終わりました。 今回は、26日、27日、28日、29日の計四日間。 私は第一日目と最終日の今日、伴走しました。 26日は雨でした。伴走三名。市役所前から、河原町や、東山、烏丸、府…

血、フェイク、他者の欲望

昨日は、夜も遅く疲労した頭で書いたせいか「セゼールの言葉は流れ出た血という究極のすがたとしての自由がある。流れ出た血という形でしか自由を与えられなかった奴隷たち」など、まがまがしいことを思わず綴っていました。あとで色々変なイメージ(三島由…

詩とは美しすぎる復讐かもしれない

今、よんでいるのはアンドレ・ブルトンをして「生まれ出ずる酸素のように美しい」と感嘆せしめた仏領マルティニックの黒人詩人エメ・セゼール(1913−2008)。自らが二グロであることから白い普遍に抗する詩の力を汲み上げた詩人です。その詩はまさに…

歴史学研究会の抗議声明文を読む(四)

昨日は、夏椿に申し訳ないことを書いてしまいました。 「咲いていたのに、今日初めて気づいた」いえいえ、夏椿は朝に開花し、夕方には落花する一日花だったのでした。すっかり忘れていました。今朝、枝先には花がなく見れば下に討ち死にしたような、無惨な姿…

歴史学研究会の抗議声明を読む(三)

玄関脇の夏椿が咲いていました(右から傘を差しかけています)。 目線より高い位置に咲いていたので、今日初めて気づきました。苗を買ったのが6年前ですが、今では私の背丈をゆうに越えるほどに。生まれて初めての手術の後に、何か希望を掴みたくて買ったの…

歴史学研究会の抗議声明を読む(二)

戦後建設された朝鮮学校は、植民地支配によって奪われた民族教育の機会を取り戻し、民族的尊厳を回復しようとするところから始まった。しかし、日本政府は戦後も朝鮮人の民族教育を弾圧し、植民地主義的な同化政策を継続させていった。 なぜ、日本は戦後も朝…

歴史学研究会の抗議声明文を読む(一)

歴史学研究会の抗議声明文で、私が立ち止まったいくつかの箇所を、ゆっくりと読んでいきたいと思います。 歴史的に見ると、朝鮮人の民族教育に対する日本政府の差別政策は、100年にわたり形を変えながら続けられている。その淵源は、いうまでもなく植民地支…

歴史学研究会による抗議声明

日本の代表的な歴史研究の学術団体である「歴史学研究会」が、さる5月22日、以下のような抗議声明を総会で決議しました。同会の許可を得て、ここに転載します。歴史学研究者の団体だけあって、鋭い歴史認識に裏付けられた、説得力のある文章だと思います…

月刊「イオ」7月号

今年の4月号から購読を始めて 毎月楽しみにしている月刊誌「イオ」(朝鮮新報社)。 在日朝鮮人社会の現在や歴史や文化をおもねることなく、まっすぐに、そして分かりやすく伝えてくれます。まだまだ不勉強な私が頼りにしている雑誌です。 今月の特集、「朝…

劇団タルオルム「金銀花永夜(クムンファヨンヤ)」(三)

パンフレットにある作・演出の金哲義さんの文章はとてもいいです。一部を引用します。 「初めてタルオルムの公演を任されて、長く短い間一緒に作って、互いの感覚のあまりの違いに驚かされる。ミンスに至っては足の爪先から髪の毛の先まで違う。その感覚の違…

劇団タルオルム「金銀花永夜(クムンファヨンヤ)」(二)

この演劇についてどこから書いたらいいのでしょう。 色々なシーンや台詞が、今頭に点滅してやみません。 「むかしむかし、私たちはただひたすらに生きた。ふり返れるほどの昔、昨日のように語れるほどの昔一瞬で時代と歴史に変えてしまえるほどの昔」 冒頭で…

劇団タルオルム「金銀花永夜(クムンファヨンヤ)」(一)

昨日、素晴らしい演劇を見てきました。 金哲義(キムチョリ)作・演出、劇団タルオルム(代表・金民樹(キムミンス))による「金銀花永夜(クムンファヨンヤ)」。いわゆる北朝鮮バッシングの中で、朝鮮初級学校を守るために奮闘する先生(ソンセンニム)た…

6月18日朝日新聞夕刊「窓」

朝日新聞夕刊のコラム「窓」に、「朝鮮学校無償化除外反対」のリーフレットに書いた詩を取りあげていただきました。詩人としてのやむにやまれぬ気持から始めた、私たちなりの「反対運動」ですが、社会面のコラムに取りあげて頂いたことで、何か一つ重荷が降…

詩人とはマイノリティである(二)

詩人とはマイノリティである、という先日からの記事タイトルは 大上段にふりかざした感じですが、しかし、先刻の「天秤」論争から引きだされたものです。もう一応終熄したことですが、詩とは何か、を自分自身にもう一度問い直さなくては、とあらためて痛感し…

「『天秤』と勇気」 竹村正人

6月8日付のブログ記事で取り上げた詩「詩人は −渡辺玄英氏に」を書いた竹村正人さんから、「『天秤』と勇気」というエッセイの投稿がありました。中身が濃く、コメント欄にアップするには勿体ない気がしましたので、本欄に掲載することにしました。6月8…

詩人とはマイノリティである(一)

徐京植『植民地主義の暴力』からのつづき。 この本で、私がとりわけ注目するのは、母語と母国語(=国語)とがことなる人々のこと。在日朝鮮人の徐さんも、そうした人々の一人です 母語とは、「生まれながらに母から注ぎ込まれる言語」、人にとってもっとも…

昨日もレーヴィのような人が

徐京植『植民地主義の暴力』で紹介されている、イタリアのユダヤ人作家プリーモ・レーヴィは、1987年、67歳で自殺をしました。 彼やツェランのように強制収容所の生き残りが自殺する例はまれではないそうです。徐京植さんは『植民地主義の暴力』でレー…

たまたまネットで知りました。対談のお知らせです。

徐京植×高橋哲哉・対談「植民地主義の暴力」 2010年6月21日(月)午後6:00-8:00(開場5:45) 会場:東京堂書店神田本店 6階(東京都千代田区神田神保町1-17/Tel:03-3291-5181/JR線御茶ノ水駅8分、地下鉄半蔵門線・都営線神保町駅3分) 対談:徐京植(作家…

昨日のつづき(コメントへの応答もふくめた独白)

「被害者がみずからの加害性を深く、繊細に、痛々しく見つめることによって、そこまで被害者を追いつめたシステムの悪の真の姿が顕わになっていくはずです。加害性の認識とシステムに対する告発は、その深さにおいて、連動するのです。」 と私は昨日の記事で…

灰色の領域

徐京植(ソ・キョンシク)さんの評論集『植民地主義の暴力』(高文研)は 被害者における加害性を考えるときに、大変触発的です。 アウジュヴィッツの生き残りである、イタリアの作家プリーモ・レーヴィに「灰色の領域」という作品があるそうです。 「それは…

その輝きを見つめるために── 二〇一〇年六月十日という出会いの日に

その輝きを見つめるために── 二〇一〇年六月十日という出会いの日に 河津聖恵 光はまっすぐに降りてくるあなたにはたえまなく いやおうもなく ふせぎようもなくあなたがうつむく地の赤さが空の青を引き寄せるようにその光をひとは見ないあなた自身にも見えな…

さよなら、あなた

ピュアで何がわるい?今、腹を立ててそう思っている。自己陶酔をなぜ恐れなければいけない? 笑いたければどうぞ笑いなさい。 例えば集団を組んで、声をあげられない弱者を大声で恫喝し、誹謗中傷する人間を、排除すべき敵だ!と限りなく憎んで何でわるい?…

ちがいますよ

覚悟をもって私を信じさせてごらんなさい。簡単なことじゃないですか。「普段の言動をかえりみて」というように、あなたが私のことをお分かりなら。

いやです

絶対的相対主義者であるあなたを、信じていません。 あなたを信じることができる確証を与えて下さい。

詩「そのいつか星の名を呼ばれる(仮題)」

そのいつか星の名を呼ばれる(仮題) 河津聖恵 まるでサイコロみたいだ闇から闇に転がされていく誰のものでもないとみなが首ふる赤鉛筆、まるでそれ自身が犯人となって遁走するみえない手から手へと渡されていく赤鉛筆、闇をひそかに司る一本の魔術師とみな…

「紫陽」21号

竹村正人さんの詩「詩人は ──渡辺玄英氏に」に目が止まりました。全文です。 詩人は無知を純粋さと取り違えてはならない詩人は判断停止を文芸と取り違えてはならない詩人は見下ろすことを正しさと取り違えてはならない 詩人は勇気を安易さと取り違えてはなら…

水野直樹『創氏改名』

水野直樹さんの『創氏改名』(岩波新書)はスリリングです。 歴史資料を駆使した大変な労作です。 創氏改名とは一般に1940年、植民地時代に、朝鮮人を完全に支配するために、朝鮮人の名前を日本人風の名前に変えさせた政策と理解されています。しかし、…

紀伊民報5月29日文化面

和歌山県田辺市に本社のある紀伊民報に出た記事です。先日電話取材に応えた私の言葉か らもひろってもらっています。 ****** 京都市の詩人河津聖恵さんが紀伊半島を巡ってつづった詩集「龍神」(91ページ)を思潮社から出版した。2310円。河津さ…

「ザ・コーヴ」がみたい(二)

京都は朝、素晴らしい青空でした。今は少し雲がでてきましたが・・。 「「ザ・コーヴ」東京での上映すべて中止」という新聞記事が、新しい首相誕生のニュースよりも、どうしても気に掛かります。 すべてですか。時折、私の中には、東京で一体何が起こってい…